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福岡地方裁判所小倉支部 昭和60年(ヨ)364号

申請人

田中隆

右代理人弁護士

安部千春

田邊匡彦

桑原善郎

被申請人

財団法人 健和会

右代表者理事

末次昭

右代理人弁護士

臼井俊紀

主文

一  被申請人が申請人に対して昭和六〇年九月一九日なした「昭和六〇年六月一二日から一年以内の休職を命ずる」旨の懲戒処分の効力は、仮に停止する。

二  被申請人は、申請人に対し、昭和六〇年六月一二日から本案判決言渡に至るまで、毎月二五日限り月額金二五万円の割合による金員を仮に支払え。

三  申請人のその余の申請を却下する。

四  申請費用は被申請人負担とする。

事実

第一当事者の求めた裁判

一  申請の趣旨

1  主文第一項と同旨

2  被申請人は、申請人に対し、昭和六〇年六月一二日から本案判決確定に至るまで、毎月二五日限り月額金三四万五二三八円の割合による金員を仮に支払え。

3  申請費用は被申請人の負担とする。

二  申請の趣旨に対する答弁

1  本件各申請を却下する。

2  申請費用は申請人の負担とする。

第二当事者の主張

一  申請の理由

1  被申請人は、総合病院等の経営、管理等を目的とする財団法人であり、申請人はその従業員で、昭和四九年一〇月被申請人経営の長行病院に事務員として雇用され、翌年一〇月同病院の事務長(補)に昇進後、管理職を歴任し、昭和五七年四月二一日から健和会本部参事の地位にある。

2  被申請人は、昭和六〇年九月一九日、申請人に対し、「昭和六〇年六月一二日から一年以内の休職(無給)を命ずる。」旨の意思表示(以下「本件休職処分」という。)をなした。

3  被申請人は、申請人を昭和六〇年六月一二日から休職処分にしたと称して、申請人をその従業員として取り扱わず、賃金も支給しない。

4  申請人の右処分当時の賃金は、一か月平均三四万五二三八円であった。

5  申請人は、被申請人から支給される賃金で生活してきたものであり、本案判決確定までその支払を受けられないとすれば、著しく生存を脅かされることが明らかである。

よって、申請人は、休職処分の効力の執行停止と賃金の仮払を求める。

二  申請の理由に対する認否

1  申請の理由1ないし3の事実は認める。

2  同4の事実は不知、5の事実は否認する。

三  被申請人の抗弁

本件休職処分の理由(懲戒事由)は次のとおりである。

1  (「協力債の会」における発言)

(イ) 申請人は、一〇年来被申請人の幹部職員という要職にあり、本件処分当時健和会本部参事という理事長及び常務会の企画立案に参画し、必要な調査活動をする極めて重要で機密を必要とする地位にあり、被申請人に対し委任類似の高度な誠実義務を負っていた。

(ロ) しかるに、申請人は、昭和六〇年三月二六日、被申請人が不渡発生による債権者の不信を払拭すべく経営再建に向けて鋭意努力中であった時期に、小倉北中央公民館で開催された被申請人の経営方針に批判的な組織である「健和会協力債債権者の利益を守る連絡会」(略称「協力債の会」)の結成総会に出席し、別紙(一)記載の発言(以下「本件発言」ともいう)のみならず、別紙(二)記載の発言をもなした。

(ハ) 本件発言の前段処分は、被申請人が自主的再建を目指しているのに福岡県の行政指導を強化させることを協力債債権者に煽動して被申請人の経営方針を批判するものであり、後段部分は、被申請人の従業員に対する協力債募集の協力要請があたかも業務命令による強制であるかのように事実を誇張歪曲するものである。

また、別紙(二)の発言に至っては、その表現において著しく穏当を欠くばかりか、事実を誇張歪曲して被申請人を非難攻撃するもので全体として被申請人を中傷誹謗するものといわざるをえない。

(ニ) そして、申請人の右各発言が「小倉タイムス」に報道された結果、取引銀行の不信を招いたり、三〇数名の協力債債権者が中途解約に押しかけるなど地域社会や被申請人内部に大きな悪影響を与え、被申請人の信用及び名誉が著しく害されるに至った。

(ホ) このように、申請人の各発言は、その地位並びに発言の時期、内容、目的及び影響力からすると、被申請人に対し著しい誠実義務違反となるものである。

2  (風紀紊乱行為)

申請人は、健和会長行病院事務長(補)の職に在任中、同病院内の風紀を紊乱する行為があった。

3  (職場秩序の紊乱)

申請人は、性格的に協調性に欠け、しばしば上司や部下と衝突する行為が存在し、職場秩序を紊乱した。

4  (職務違反)

申請人は、参事に就任後の昭和五九年五月頃、職務上の地位を利用して入手した資料を用いて、被申請人の経営を批判するための分析を実施する行為を行い、職務に誠実に従事する義務に違反した。

5  以上の事実は、別紙(三)記載の就業規則四四条(誠実義務)四五条一項四号(病院の信用、名誉を損い不利益を図ることの禁止)、二四条一項一号(就業規則の条項にしばしば違反する行為の禁止)、同条項八号(被申請人の経営目的に反する不正行為、反社会的行為により、著しく被申請人の体面を汚す行為の禁止)、同項一〇号(それに準ずる行為の禁止)に該当する。

四  抗弁に対する申請人の答弁及び主張

1  (抗弁に対する認否)

抗弁1の事実については、(イ)の事実のうち、本件処分当時申請人は健和会本部参事の地位にあったこと、(ロ)の事実のうち、申請人は昭和六〇年三月二六日小倉北中央公民館で開催された「協力債の会」の結成総会に出席し、本件発言をなしたことは認めるが、その余は否認する。

2  (「協力債の会」における発言について)

本件発言は、申請人が参事という地位から知り得た業務上の秘密に属するものではなく、協力債債権者の一員として被申請人の再建を願う立場からなされたもので、その内容も真実に合致している。言論の自由は最大限保障されなければならないにもかかわらず、あえて本件処分がなされたのは、被申請人の経営方針を批判する従業員に対する見せしめであって懲戒事由には該らない。

3  (懲戒権の濫用)

仮に、申請人の発言が懲戒事由に該当するとしても、譴責処分程度が妥当であるところ、本件休職処分は苛酷すぎ、裁量権行使の限界を逸脱して懲戒方法の選択を誤った違法がある。

4  (遡及処分の無効)

被申請人は、昭和六〇年六月一二日本件処分と同一の理由により予告解雇したが、申請人が当庁に地位保全の仮処分を申請し、当庁昭和六〇年(ヨ)第二〇三号事件として係属するに及んで、被申請人敗訴をおそれて、同年九月一九日右解雇を撤回し、同日付で改めて同年六月一二日に遡って本件休職処分をしたものである。したがって、本件休職処分は、過去に遡ってなされたものであるから、無効である。

理由

一  申請の理由1ないし3の事実は、当事者間に争いがない。

二  本件休職処分の経緯

当事者間に争いがない事実に疎明資料を総合すると、次の事実が一応認めれる。

1  被申請人は、社会福祉の本旨に則り、科学的で適正な医療をおこない、特に中小企業従業員、零細業者(失業者)等援護を要する者に対して低廉又は無料診療を行い、労働災害、公害などと積極的にとり組み、非常災害などの緊急事態には無料診療班を派遣するなど社会福祉に貢献することを寄付行為の目的(寄付行為三条)として設立され、肩書住所地に健和会大手町病院を始めとして北九州市を中心に総合病院、診療所、研究所等を経営している財団法人である。

2  申請人は、昭和四九年一〇月被申請人に事務員として雇用され、翌年一〇月長行病院事務長(補)に昇進後管理職を歴任し昭和五七年四月二一日から健和会本部参事の地位にあり、、理事長及び常務会の方針立案に参画し、そのため必要な調査活動を行う職務内容であるため、幹部職員としての処遇を受け、被申請人の給与表二級職部長級相当の給与の支給を受けていた。

3  被申請人は、前記目的に掲げられた基本理念を達成するため、被申請人の活動を支持する地域住民を協力者として健和会協力会を結成し、資金調達にあたっては金融機関からの融資のほか健和会協力債(以下「協力債」という)と称する債券を発行して多数の協力者から融資を受けるという方法をとっていた。しかも、協力債による資金の調達は、被申請人にとって極めて重要な役割を果しており、被申請人は、昭和五八年五月二八日その中核的病院である健和会大手町病院の建設資金として昭和六三年三月三一日までに協力債によって七〇億円を調達する協力債募集計画をたて、昭和六〇年三月三一日現在四七億三七七六万四六六九円(一万三八三九口)が集められた。

被申請人は、各年度募集計画を達成するため従業員に対しても応募及び募集活動に協力するよう働きかけ、その結果申請人も三〇〇万円の債券を購入したのを始め、殆んどの従業員が応募し、募集活動に参加していた。被申請人から従業員に対する協力依頼は、文書や職場集会を通じてお願いするという形で行われ、非協力者に格別の不利益を課すものではなく、業務命令の性質を有さず強制を為すものでもなかった。

4  ところが、被申請人が同年二月一三日約一億三〇〇〇万円の手形を不渡にしたために、協力債債権者や従業員は、被申請人の経営状態に不安を抱き、協力債債権者のうちには、協力債の中途解約は原則として認められていないにもかかわらず、中途解約を申し出る者も生じ、被申請人は、不渡は事務的なミスによる一時的な資金難であったと説明して解約申出を撤回するよう説得した。

5  しかし、一部の協力債債権者は、被申請人の説明に納得せず被申請人の経営方針に疑問を抱き、無担保少額債権である協力債債権の確保を目的として「協力債の会」を結成し、同年三月八日被申請人に対し、協力債の会準備会の名で不渡の原因、資金繰、経営状況などの疑問を発した。これに対し、被申請人は、同年三月一五日協力会の会員全員に対し、不渡の原因、今後の見通し等を書面にして配付したが、協力債の会員らは、協力債保障の具体的方策や経営状況の説明が不十分であるとして、被申請人に対し同月二六日開催される「協力債の会」結成総会への出席方を要求した。

6  「協力債の会」結成総会は、昭和六〇年三月二六日北九州市小倉北中央公民館において開催され、申請人及び数名の従業員を含む約二〇〇名の協力債債権者が出席したが、出席要求の出ていた被申請人は右結成総会に出席しなかったため、出席者によって被申請人の経営方針に対する厳しい批判がなされた。申請人は、右結成総会の席上において、別紙(一)記載内容の発言をするに及んだ。

7  右結成総会の経過は、「小倉タイムス」紙上に掲載され、特に被申請人従業員の発言が強調され、別紙(一)記載の発言のみならず、別紙(二)記載の発言もあったと掲載された。その後、約三〇名の協力債債権者が被申請人に対し、協力債の中途解約を申し出たが、被申請人の説得により三名を残し撤回した。

8  被申請人は、同月三〇日申請人に対し、右結成総会における発言が就業規則に違反しているとして同日から一か月間反省のための自宅研修を命じたが、同年五月一三日申請人に対し、その後も反省の色がうかがえないとして同年六月一二日をもって解雇する旨の予告通知をした。しかし、申請人は、これを拒否し、解雇理由の通知を要求し、昭和六〇年六月一七日申請人が当庁に地位保全等の仮処分を申請した(当庁昭和六〇年(ヨ)第二〇三号)。

ところが、右仮処分事件の係属審理中被申請人は申請人に対し一定の反省がなされたとして同年九月一九日前記予告解雇を撤回し、改めて同日本件休職処分をなすに及んだ。

以上のとおり一応認められる。

なお、被申請人は、申請人が別紙(二)記載内容の発言もなしたと主張し、疎乙第二五号証(小倉タイムスの記事)を提出するが、発言者が特定できず、また録音テープから反訳したと認められる(証拠略)と対比すれば、その内容をにわかに信用することもできず、他にこれを認めるに足りる疎明資料はない。

また、被申請人は、新たに懲戒処分の事由として、前記三の2ないし4の風紀紊乱行為等を追加するが、本件全疎明によるもこれを認めるに足りない。

三  懲戒事由の該当性について

以上認定の事実を前提に、申請人の行為が懲戒事由にあたるかどうかについて検討する。

まず、被申請人は申請人の結成総会における発言をとらえて就業規則四四条、四五条四号に違反すると主張する。

ところで、申請人の右発言は、職場外における行為であるので問題となるが「労働者は、使用者と労働契約を締結して雇用されることにより、使用者に対し、労務提供の義務を負うとともに、企業秩序を遵守すべき義務を負い、使用者は、広く企業秩序を維持し、もって企業の円滑な運営を図るために、その雇用する労働者の企業秩序違反行為を理由として、その労働者に対し、一種の制裁罰である懲戒を課することができるものであるところ、右企業秩序は、労働者の職場外で為された職務遂行に関係のない行為であっても、企業の円滑な運営に支障を来すおそれがあるなど企業秩序に関係を有するものは規制の対象となり、これを理由に労働者に対して懲戒を課することも許される」と解するのが相当である。

したがって、就業規則(疎乙第一号証)四四条、四五条四号により、申請人は、企業の円滑な運営のために、職場の内外を問わず、誠実にその職務に従事して責任を遂行し、かりにも企業に対する信用・名誉等を毀損する行為をしてはならない義務を負うものといわなければならない。

前記認定事実によれば、申請人は、昭和四七年四月二一日から「健和会本部参事」の地位にあり、理事長及び常務会の方針立案に参画し、そのため必要な調査活動を行うなどの職務内容を有し、幹部職員として比較的高い地位にあった者でそれに応じて責任も重いといわざるを得ない。(このことは、申請人が三〇〇万円の債券を購入し、債権者としての地位で結成総会に出席したとしても変りはない。)

しかるに、申請人の結成総会における発言内容は、前段において、公益法人の健和会の実体を監督官庁である県に向かって働きかけて知らせていき、行政指導を強化させることにより健和会の運営の方向を改めさせようという意図がうかがわれ、暗に現理事長の下での被申請人の運営に対する批判を含むものであり、また後段においては、従業員の協力債応募及び募集活動が被申請人の業務命令によって強制的に行われているかの印象を与える点で、事実を誇張、歪曲した不実のものが含まれており、全体として現理事長体制下の被申請人の経営姿勢を非難攻撃する趣旨のものである。被申請人が手形の不渡による経済的不信を早急にぬぐい去ろうと努力している時期における多衆を前にしての発言であるだけに被申請人の社会的信用をいっそう低下させる(前記、認定のとおり協力債債権者からの中途解約の申出が続出した)とともに、職場内の秩序も混乱させるおそれがあったと一応認めることができる。

以上の事実は、就業規則四四条、四五条四号に該当する行為と評価することができ、その結果、申請人は、

「就業規則の条項にしばしば違反した者」(二四条一項一号)とはいえなくても、少くとも「これに準ずる行為のあった者」(同項一〇号)にあたるといわざるを得ない。

そうすると、二四条二項に定められた懲戒処分(始末書、譴責、減給、格下げ、昇給停止、出勤停止、休職、解雇)を科せられても止むをえない。

四  懲戒権の濫用について

そこで、更に進んで、本件休職処分が妥当であったかどうかの懲戒方法選択の点について検討する。

1  懲戒規定に数段階の懲戒方法の定めがある場合は、懲戒の種類とともに情状による段階を示したものであり、その選択は使用者の裁量にあることはいうまでもないが、恣意的な選択を許すものではなく、懲戒事由と情状とが客観的相当性をもったものでなければならないと解すべきである。

2  これを本件についてみるに、申請人の本件発言は、前示のとおり被申請人の社会的信用を害するおそれがあった行為として非難を免れ得ないが、発言の場所は、「協力債の会」という限定された場で為されたもので、表現の方法も、文書ではなく短時間の発言にとどまり、新聞報道を予期した行動とも言えず、ことさら社会一般に被申請人の悪印象を与え、社会的信用を失墜させようとの意図を有していたとは認め難く、結果として、前記認定のとおり小倉タイムスに結成総会の記事が掲載された後、約三〇名の債権者から協力債の中途解約の申し出があったことは、被申請人自身が不渡処分を受けたことによる影響も否定できず、すべて申請人の責に帰すると考えることはできないし、また、被申請人自身も申請人の反省を認めて前件の地位保全等仮処分申請事件を取り下げたように、その後申請人は自己の行動の軽率さに気付き反省の態度が十分認められることなどの諸般の情状を考慮すると、更に軽度の処分をもってしても懲戒の目的は十分に達しうると認められ、申請人の生活に重大な支障を及ぼし、解雇と同じ影響を与えかねない本件休職処分は、著しく苛酷に過ぎ、裁量の限界を逸脱して処分の選択を誤った違法により無効であると言わざるを得ない。

五  賃金請求権

疎明資料によると、申請人の平均給与は月額三四万五二三八円であると認められるから、申請人は、本件処分によりその支給を停止された昭和六〇年六月一二日からの現在及び将来の賃金請求権を有している。

六  保全の必要性

したがって、更に保全の必要性を検討するところ、申請人は、被申請人から前示のとおり違法な本件処分により休職の取扱いを受けたまま現在に至っているのであるから、本件処分の停止を求める保全の必要性が一応認められ、給与の仮払については、申請人の家族は妻、実母及び未成年の子供二人であるが、妻には月額約二二万円の給与収入があるから、申請人及びその家族の当面の生活を維持するためには、申請人の前記給与のうち二五万程度の仮払を本案判決言渡があるまでの間一応認めれば足り、右を超える部分については必要性の疎明がない。

七  結論

よって、本件仮処分申請は、主文第一、第二項に掲げる限度で理由があるから認容し、その余の部分は保全の必要性の疎明を欠き、かつ、保証をもってこれに代えることも相当でないから却下することとし、申請費用の負担につき民事訴訟法八九条、九二条但書を適用して主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 三村健治 裁判官 村岡泰行 裁判官 増田耕兒)

別紙(一)

私は従業員の田中と申します。

あのー私も債券者の一人でありますけれど、この協力債の会が今後どのように闘い、発展を遂げるか、そして、この会が今後強力になって戴くと言う立場から一つ二つ意見を述べさせて戴きたいと思います。

一つは、先程、県議会で問題になったと言うことなんですが、この協力債の会の闘いの相手と申しますか、戦う組織的な相手は監督官庁であります県だと思います。健和会は御承知の通り公益法人であります。その許認可権の絶対的な権限をもっているのは県知事であります。つまり、医師の定数から看護の定数、或いは、健和会の事業目的や方向、内容総てにわたって監督、指導の権限をもっております。或いは、協力債の集める方法、その金額そういうものも含めて行政指導の権限をもっておりますし、或いは、医療法の改正によって公益法人の理事長たるものは医師でなくてはならないと言うことでさえ、今は行政指導で求められつつあります。健和会は医師ではありません、理事長は。まあ、そのような権限も含めて、或いは……寄付行為の中にも書いてありますように、法人の解散や財産の帰属の問題、その権限、許認可を含めて県知事の許可なくしては法人の解散もありません。

そう言う意味で我々の“首ねっこ”を押さえているのは最終的には権力機構であります県であります。と言うことからして、この協力債の会の組織的な闘い、そして真の住民本位の医療機関に文字通り、定款にもとずく公益法人の性格を全うする、そういうものを指導さしてゆく権限も知事にあるわけです。

そう言う意味で此の問題が県議会で問題になったと言うことは我々の立場でこの健和会の実態をですねもっと県にむかって働きかけて行くことが必要になってきたんではないでしょうか。その意味で先程の方の質問と言うのは、闘いの方向、一つの内容として重要な要素になっているんではないかと思いますし、今後の協力債の会の闘いの方向づけになると思います。

健和会は不幸にして従業員の場合、二つの組合があります。この二つの組合員数をプラスしても職員数の半分にも満たないと言うことでございます。しかし、先程の職員の方が不安でたまらないから協力債の会に加入させてくれと言うのは、率直な職員の気分や感情です。と申しますのは、これは日々訴えられておりますが、例えば(私自身も昨日体験しましたが)ある職員も私のところに話にきましたが、つまり、どうしても自分の親戚の会社が潰れそうなので、自分の債券を下ろして融通したいと行くわけですが、そうしますとその金額を集めてこない限りその債券額は払い戻ししませんという。それでも自分は絶対入るんだと言うと、それは健和会の職員の言う言葉ではないと言うんですよ、あるいはですね、その……わたしは……まあ……そう答えてる人は理事の一人なんですけれどねー、その理事の一人は「私は頭が悪いから、協力債の会とか、共同委員会とかそう言う人々の考え方はよくわからない、何故なら、とにかく健和会の職員だったら、協力債を集める以外にその使命はないはずだ」と言っており……だから職員の方は身動きできない……組合員の方もふくめて。そう言う中で、我々が団結する方向というものは、やはり真に住民に依拠した、即ち、協力債の会の方々に依拠した経営の再建と組合運動をやらないと出来ないと思います。これが職員の真の感情であり、これは私の意見でありますけれど、本当の健和会職員の気持はここにあるんだと言うことではないかと思います。したがいまして、お訴えしたいのは、健和会の職員に対して、皆さん方が激励して戴きたいと思うのが私の率直な意見です。これは幹部職員にはしなくてよろしいです。はっきり言いまして、末端のそう言う一人一人の職員はですね、仕事は強化され、そして協力債は“業務命令”で集めさせられ、そして自分が必要な金をひきおろしに行ったら「貴方が集めてこない限り、そのお金は払いません」と……そして今日ですね、また給料からですね「天引の協力債」をしなさいとその申込書を強制的に机の上において回るんですよ……

だからですね、組合の方も奮闘しておりますが、そう言う点で、協力債の会の方々が職員と団結してこの事態を解決すると言うことを今一つ、この総会の中で討議して戴き、更に、確認して戴きたいと思っております。 以上でおわります。

別紙(二)

「いま健和会は去るも地獄残るも地獄だ。給料は協力債を義務づけられ、職員の協力債引出しはタブーになっている。家族や親類が払い戻しを求めたときは相当額の協力債を集めることが条件。債券集めは職員の証明にさえなっている。末次軍団の徹底した職場管理で身動きができず、労働強化、協力債集め、給料も協力債の強要など奴隷工場だ。」

別紙(三) 就業規則(抜すい)

第4章 人事

第24条(懲戒、弁明異議申立)

1 次の各号の一つに該当すると認めた時は所属長の提起によって院長が本人の弁明を聴取し管理会議の議を経てこれを発令する。この処分に異議のある場合は発令の日付の日から起算して一週間以内に理事会に申立てなければならない。理事会は上記申立があった日から三週間以内に審議決定した結果を本人に通知しなければならない。

(1) 就業規則の条項にしばしば違反した者または就業状況が著しく悪いもの。

(8) 当法人の経営目的に反する不正行為、反社会的行為により著しく病院の体面を汚した者。

(10) その他上記各号に準ずる行為のあった者。

2 前項各号による懲戒は、始末書、譴責、減給、格下げ、昇給停止、出勤停止、休職、解雇の内一又は二以上を科される。

第7章 服務規律

第44条(誠実勤務)

従業員は病院の目的、使命に沿って常に職務上の責任を重んじ病院の指揮命令に従って職場秩序を維持し、誠実にその職務に従事して責任を遂行しなければならない。

第45条(禁止事項)

従業員は次の各号に該当する行為をしてはならない。

(4) 病院の信用若しくは名誉を損ない、機密をもらし又は不利益を図ること。

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